もし人間を神様が作った超精密なコンピューターにたとえれば、遺伝子はそのコンピューターを動かすプログラムに相当します。つまり私たちの身体はすべて遺伝子の指令に従って生きているといえます。
ただし、人間の作ったコンピューターのプログラムは基本的には(0、1)の2つの暗号をもとにすべての情報が書き込まれていますが、神様が作ったコンピューターのプログラムつまり遺伝子の配列は、4種類の核酸A (アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の組み合わせによって書き込まれています。 そしてこれらの遺伝子配列を読み取ることによって、私たちが生きていくためのいろいろなタンパク質が作られているのです。 |
それではこれらの遺伝子情報からどのようにしてタンパク質が作られるのでしょうか。次の図はその流れを示しています。
まず、細胞の核の中に存在する遺伝子のなかで、ある刺激を受けて活性化(スイッチがONになった)遺伝子からメッセンジャーRNAと呼ばれる一本のひも状の物質が作られます。この工程は「転写」と呼ばれるプロセスで、基になる遺伝子(DNA)の情報を読み取ってタンパク質合成のための情報に置き換える役割をしています。
つぎに、これらのメッセンジャーRNAは核の外にあるリボソームと呼ばれるいわば「タンパク質合成工場」に運ばれて、そこでメッセンジャーRNAの情報が読み取られ、その配列に相当するタンパク質が作られるのです。この工程は「翻訳」と呼ばれます。
この場合、もとの遺伝子情報は前にお話したようにA, T, G, C の4種類の組み合わせからなる暗号ですが、これがタンパク質に変換されるときは、さらにこれらの4種類の組み合わせから3個ずつ選択されてひとつのアミノ酸が作られ、これらのアミノ酸が連なってタンパク質になるのです。たとえばAGGという配列からはアルギニンというアミノ酸、GCCはアラニンというアミノ酸が作られます。