マグトレーション

マグトレーションとは

疾病の診断と予後の判定に役立つ臨床診断は全世界で日常的に広く実施されています。その分野は、インビボ診断法とインビトロ診断法があり、そのうちインビトロ診断法は、生化学検査、免疫血清検査及び遺伝子検査の3つに大別されます。生化学検査と免疫血清検査は歴史も古く、現在では検体を投入以降の全検査工程を機器が処理し結果を打ち出す、全自動化が広く浸透しています。

一方、遺伝子検査は、まだ実用化されているのは主にウイルス等の感染症検査と一部の遺伝子検査に限られ、さらに自動化という点では、その測定技術の複雑さ、多様性と遺伝子の取り扱い等の面の検査の工程ごとの自動化はかなり図られていますが、生化学検査と免疫血清検査に比べ全自動化からははるかに遅れていました。特に遺伝子検査ではまず検体からのDNA等の遺伝子を精製する必要があり、この抽出工程の自動化が遅れていました。

PSSでは、すでに免疫血清検査の自動化における究極の固定化材料として実用化されている磁性粒子に着目し、遺伝子検査に必要な抽出工程の自動化に取り組みました。その結果、従来のX-Y-Z軸ロボット型分注機を基本に、特殊形状のプラスチック製使い捨てチップとその外側に自動着脱する磁石からなる磁性粒子の制御方法を発明しました。この技術がマグトレーション技術(Magtration® Technology)です。

マグトレーションによるDNA抽出の原理

ノズルに装着された特殊形状のチップが検体を吸引し、はじめの試薬が入ったウエルに移動し吸引吐出により攪拌が行われます。磁性粒子の分離には、吸引あるいは吐出する際に磁石がチップ最適径部に接触することで効率よくチップ内壁に保持することができます。

このように分離された磁性粒子をさらに次のウエルに移動させ吸引吐出を繰り返すことで効果的な再懸濁、洗浄を行うことができます。この際、チップ先端が液体に浸かっている状態にし、気泡や飛散を起こさない動作にすることで、クロスコンタミネーションの軽減を実現しています。

このように対象物のみをハンドリングしていく磁性粒子法の特徴と、シンプルな動作の装置で自動化を実現するMagtration® Technologyの特徴を組み合わせ、関連装置を全世界に提供しています。

Magtration® Technology 紹介ビデオ

Magtration®とは「磁石によるふるい分け」という意味を表す“Magnetic Filtration”を縮めた造語で、磁性粒子の反応を自動化するために開発されたPSS独自の技術です。これまで磁性粒子を用いた核酸抽出の自動化を遅らせてきた要因は、粒子のコントロールに際してのキーポイントである捕獲効率、次工程での再懸濁効率、その他、コンタミネーションの防止等の重要要素を装置上に兼ね備えることが困難なことにありました。そこでPSSは、自動分注機をベースとした非常にシンプルな装置にMagtration® Technologyを取り入れることで上記の問題を解決することに成功しました。

このように対象物のみをハンドリングしていく磁性粒子法の特徴と、シンプルな動作の装置で自動化工程のリスクを解決したのが、Magtration® Technologyの特徴です。

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