遺伝子は、生物の根源となる情報です。生物は、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)と呼ばれる核酸の塩基の組合せ(塩基の三つ組み暗号の組み合わせ)を遺伝子(遺伝情報)として保持しています。
DNAの塩基の3個で一種類のアミノ酸が決まります。さらにアミノ酸の組み合わせはほとんど無限にあり、それらの組み合わせでたくさんのタンパク質が決まります。
従って、生物の細胞の中にあるDNAの塩基配列の違いによって、その種の形質が決まり(ゴリラとヒトの差異)があり、さらに同じ種であっても個体(個人)ごとの遺伝的形質の差異(お酒の飲める人と飲めない人の差異)が起こります。
さまざまな細胞の異なる遺伝子から作られるmRNAを測定する研究方法のことです。腫瘍の種類のグループを特定したり、どの患者が薬剤投与などの治療に反応し、どの患者でがんの再発リスクが高いのかを予測したりする際に、役立つ診断検査として用いられている分析方法です。似たような言葉に、FBIが犯罪捜査のために採用しているもの"プロファイリング"とうものがあります。
イムノアッセイ(Immunoassay)とは免疫測定法の意味で抗原抗体反応を利用して、血清や尿のような体液の中に含まれる物質の濃度を測定することをいいます。測定したい物質を抗原として動物に抗体を作り、その抗体と反応する性質を利用した測定法です
SNP解析法の一つで、PCRによる増幅が不要で迅速、低コストでSNP変異が検出できるため、全自動化に適しています。予め設計したインベーダーオリゴヌクレオシドがハイブリダイズしたときにのみ特異的に切断する酵素(clevase)がプローブを切断し、遊離した断片を検出します。アメリカのサードウエ―ブ社(Third Wave Technology;現米国ホロジック社)により開発されました。
英語ではInformed Consentと書きます。医師から十分な説明を受けた上で、患者さんがその内容を納得の上、診療を受けることを言います。特に、患者から採取した血液や組織を研究に用いる時に患者に研究の目的などをわかりやすく説明したうえで、資料提供に関する同意書を書面にて受けることを指しています。特に遺伝子差別が起きないよう、試料提供者のプライバシーをはじめとした遺伝子情報管理体制の整備が臨床検体を扱う場合、不可欠となります。
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスにより感染する急性感染症をいいます。流感とも言われています。 定義として、風邪との違いは、原因となるウイルスの種類で異なりますが、風邪はのどや鼻に症状が現れるのに対し、インフルエンザは急に38~40°Cの高熱がでるのが特徴です。さらには倦怠感、筋肉痛、関節痛等の全身症状も強く、5日間ぐらいこの症状は続きます。また気管支炎や肺炎を併発しやすく、重症化すると脳炎や心不全を起こすこともあり、体力のない高齢者や乳幼児などは命にかかわることもあります。
インフルエンザにはA型、B型、C型の3つのタイプがあります。A香港型、Aソ連型などが有名です。その年により流行する型が変わります。また同じ型でも毎年微妙に形を変化させますので、以前にインフルエンザにかかってできた免疫も役に立たないこともあり、毎年かかる可能性があります。インフルエンザには大流行のたびに名前がつけられています、1918年のスペイン風邪(H1N1)、1957年のアジア風邪(H2N2)、1968年のホンコン風邪(H3N2)、1977年のソ連風邪(H1N1)などが有名です。また2009年にメキシコやアメリカ等で確認された新型インフルエンザ(H1N1)は記憶に新しいものです。
エピジェネティクス(epigenetics)とは、塩基配列の変化でなく、遺伝子の発現を活性化または不活性化する細胞分裂後に継承される情報を扱う学問のことです。 わかり易くは、我々の体は、皮膚、胃、肝臓など様々な組織からできており、これらは別々の細胞で構成されています。どの細胞も基本的には同じ遺伝情報を持っていますが、使う遺伝子と使わない遺伝子に目印をつけて別々の細胞となります。エピジェネティクスは、この目印を解明する学問です。またこの目印の特徴は、皮膚から胃ができないように、いったんつくと容易にはずれないことです。細胞内のDNAは、ヒストンとよばれるタンパク質に巻きついています。エピジェネッティクな目印には、DNAにつく目印(DNAメチル化)とヒストンにつくヒストン修飾(アセチル化やメチル化)の2つが知られています。
DNAメチル化は遺伝子の不活性化(スイッチOFF)し、ヒストンのアセチル化は遺伝子を活性化(スイッチON)します。癌の種類により塩基配列の変化よりもDNAメチル化により癌抑制遺伝子が不活化される場合もあることが分かってきています。癌の他に自閉症や糖尿病でエピジェネッティクスの関与が示唆されており、様々なところで研究が盛んになっています。
オーダーメイド医療(order-made medicine)とは、個人の遺伝的な特徴(体質など)により、お酒に強い人と弱い人がいるように、薬の効き方が異なります。遺伝子を調べてその体質を知ることで薬の副作用や治療効果の有無が判れば、その人にぴったりの薬や治療法を選ぶことができます。このようにして行う診断・治療をオーダーメイド医療またはテーラーメイド医療と呼んでいます。